■特集
教えて!合葬墓をめぐるアレコレQ&A

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テーマは「誰と、どこで、どう永眠するか?」です。

●答える人 高齢者住宅情報センター・センター長

 

合葬墓取り組みの背景

ー新たに合葬墓の取り組みを始められたとか。なぜ今、合葬墓なのですか?

 生きている間だけではなく、死んだあとのすみか、つまり本当の意味での「終のすみか」にも、皆さん強い関心をもっていらっしゃいます。

 去る8月24日、大盛況のうちに終わった「在宅ひとり死準備セミナー」で、上野千鶴子さんが「ちょっと前までは、こんなセミナーを開催できるなんて考えられなかった」とおっしゃっていたけれど、お墓やお葬式も同様なんですね。かつては縁起でもないとか、口にするのも憚はばかられたことが、今や避けて通れない問題としてクローズアップされてきた。ここをどうするかは、今やとても切実で重要なのだと思います。

 よく言われることですが、その背景には高齢化が進んだことはもちろん、少子化の問題があります。お墓を継承する子どもがいないので、このままでは無縁仏になってしまうのではないかとか、子どもがいても一人娘で、結婚したらどうなるかわからないという声も聞きます。おひとりさまならば、死後の供養など最初からあてにできないでしょうし……。

 墓守の負担というのは、精神的にも物理的にも、はたまた金銭的にも決して軽くありません。一人で複数の墓守を担うケースも珍しくありませんし、だからこそ、子どもや親類に迷惑をかけたくないとおっしゃる方も多いのです。たとえ故郷に先祖代々のお墓があっても、親や配偶者が死んだら、はたして故郷に埋葬すべきかどうかは迷うところですよね。今、暮らしている場所から近い所に、改めてお墓を求めたいというニーズもあるでしょう。

 もうひとつ特徴的なのは、墓石に「○○家之墓」と刻んだ従来のお墓のあり方や供養の仕方に、いささか疑問や抵抗がある場合です。自分の親や配偶者の親、あるいは配偶者・パートナーを看取った後に、お墓のことでいろいろ考えられたんでしょうね。
従来のお墓が血縁による供養を前提に、家系の継承を重視したものであるのに対して、合葬墓は血縁のない不特定多数の人が自らの意思と選択によって、共同で墓守していくものです。戦後、新しい民法が制定されてから半世紀以上が過ぎました。家制度に縛られたお墓の形態から自由になりたいという人が現れても、不思議はないでしょう。

 東京・東銀座の弊情報センターでも、これまで二回ほど勉強会を開きました(10月末現在)が、参加の理由として、こうした声が少なくありませんでした。少し前に『千の風になって』という歌が大ヒットしましたけれど、「私は墓の中で眠ってなんかいない」という歌詞に共感を覚える方が増えているのだと思いますよ。

 

都立霊園の樹林墓地

ーそういえば、都立小平霊園が樹林墓地の募集をしたところ、大人気だったそうですね。

 当方の参加者にも、「申し込んだけれど抽選に外れた」という方がかなりいらっしゃいました。いわゆる墓石を立てない埋葬法として、散骨や自然葬があると思いますが、樹木葬もそのひとつです(▼「お墓・埋葬のミニ知識」参照)。

 死後は自然に戻りたいというニーズに応えるべく、都立霊園でも初の取り組みだったといいます。言い換えれば、都立霊園でも見逃せないほど、お墓に対する意識が変化してきたことの証でしょう。7月の第1回の募集数は500体でしたが、なんと倍率は平均して16倍以上だったとか

 詳細を調べてみたら、遺骨そのままか粉状遺骨かのどちらかを選び、直接、土に触れる形で埋葬されるそうです。こぶしや山ぼうし、夏ツバキ、ねむの木、色葉モミジといった比較的低木の樹林の下に共同の埋蔵施設が全部で27基あり、そこに骨壷から遺骨を取り出して、土をかぶせながら重ねていきます。年月をかけて土に返るというわけです。

 小平霊園では現在整備中を含め、樹林墓地全体で1万700体の埋蔵を予定しているといいますから、募集は今後も順次行われると思います。ただ、こうした樹林墓地がどこの霊園でも可能かといえば、採算やスペースの確保、構造面などで実際は難しい問題があるようです。

今回は募集数500体枠に8,169体の応募があったが、家族・身内の遺骨用と本人が生前に申し込む場合との二通りがあり、本人用は約22倍という高率だった。

 

社団が目指す合葬墓とは

ー関西での取り組みが先行しているそうですね。それはどのような仕組みですか?

 11月1日、神戸山田霊苑(神戸市北区)に「ゆいま〜る合葬墓」を開眼しました。弊社団が霊苑から使用権を得て、合葬墓の運営および管理を行います。お墓の形状は墓石を用いていますが、納骨の際に骨壷から麻製の納骨袋に移して埋葬されます。

 社団の合葬墓の特徴は3点あります。

 国籍や宗旨・宗派を不問としました。戒名も不要です。ただし、神戸山田霊苑のケースは墓碑を用意したので、彫刻費は別途かかるものの、希望すれば生前の名前や生年・没年月日を彫ることが可能です。開苑時間内であればいつでも自由にお参りできますし、事前に申し出があれば、自らの宗旨・宗派の儀礼に則って法要を営むこともできます。

 年1回、弊社団が合同供養祭を開催します。お墓の承継者がいないとか、死後の供養が心配な方も安心です。また、ご本人や配偶者・パートナー、親族以外に、改葬による遺骨も受け入れることにしました。遠い場所にあるなど、先祖代々のお墓について悩んでいらっしゃる方も、改葬すれば問題は解決されるのではないでしょうか。

 共同使用のため、1人あたりの費用が軽くなります。詳しくは別表をご覧ください。さらに、管理料などの維持費もいっさい不要です。使用期限を設けず、弊社団が存続するかぎり永続的に使用していただけます。

 

 これらの特徴は、東京の事務所で立ち上げた合葬墓の勉強会でも、共通事項にしていきたいと考えています。異なるとすれば、同じ合葬墓でも、土に返ることを旨とした樹木葬への関心や意向がとりわけ強い点でしょうか。

 現在、設置場所として挙がっているのは、東京都下にある奥多摩霊園。国立公園内にある唯一の霊園だそうです。新宿から中央線・特別快速を利用して1時間40分くらいで最寄り駅「奥多摩」駅に到着。霊園まで送迎バスを利用して7分ですから、トータルで都心から2時間弱といったところです。

 この取り組みのパートナーである大野屋さんにいろいろ案を出してもらい、皆さんがイメージする樹木葬になるべく近い形状を模索しているところです。いわゆるカロートと呼ばれる納骨棺の底を抜いて、樹木を植える盛り土と地続きにし、最低限「土に返りたい」という要望は実現できると思いますよ。

 まだ試行錯誤は続くと思いますが、「墓友(はかとも)」という言葉が生まれる時代です。だからこそ自分やパートナーのお墓、あるいは故人をどう供養していくかという問題に、弊社団が取り組む意義もあるのではないでしょうか。

 

お墓・埋葬のミニ知識

 現在、日本の火葬普及率はほぼ100%近いと言われています。とはいえ、東京都や大阪府など、地方自治体条例で火葬を定めている地域が多いものの、絶対火葬にしなければいけないというわけでもありません。申請すれば、限定的に土葬を認めている地域もあります。

 だいいち火葬が50%を超えたのは、第二次世界大戦の敗戦を経て、日本社会が混乱期を脱し始めた1950年代のこと。火葬の習慣が全国津々浦々に定着したのは、今からわずか30年ぐらい前のことにすぎないのです。

 では遺体・遺骨をどこに埋蔵するかですが、これは法律で定められています。厚生労働省の「墓地、埋葬等に関する法律」というもので、その第4条に「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならないと」と昭和23年に決められました。

 ここでいう「墓地」とは、墳墓を設けるために墓地として都道府県知事の許可を受けた区域を指します。したがって、この法律ができる以前から自宅の庭や裏山にある墓などは認められるようですが、たとえ自分が所有する土地でも新たに墓を作ることはできません。また、「墳墓」とは死体を埋葬、あるいは焼骨を埋蔵する施設のことで、いわゆるお墓です。

 この法律があるために「散骨は法的に認められていないのでは?」と思っている方が少なくないのですが、条文を読むかぎり、遺骨を撒くことは禁じていません。撒く行為は埋蔵とは異なります。

 法務省も散骨に関して「葬送のための祭祀で、節度をもって行われるかぎり問題はない」との見解を明らかにしました。こうして20年ぐらい前から、遺骨や遺灰を限定的に海原や野山に撒く散骨が広がってきたのです。最近の樹木葬人気も、埋葬に関する自然回帰の意識が色濃く反映されたものと言えるでしょう。

 いつ遺体や遺骨を埋葬するかについてですが、結論を言えば、いついつまでにという決まりはありません。仏式であれば四九日の法要に合わせて納骨することが多いようですが、別に教えで定めているわけでもなく、あくまで慣用的に行われているだけです。

 ということは、たとえ身内が急逝されても、焦ってお墓を求める必要はないということ。焼骨した後、骨壷に納めた状態で自宅などに保管しておいてもなんら問題ありません。

 思うようなお墓が見つからない場合、埋葬許可証さえ紛失しなければ、納得のいくまで時間をかけて探しても大丈夫なのです。