■相談員から
暮らしを楽しむ高齢者住宅へ

 昨年12月、東京都板橋区にサービス付き高齢者向け住宅「ゆいま~る高島平」30室が開設されました。都市再生機構(UR)の11階建ての団地121室中30室を高齢者住宅にリフォームして生活支援サービスを提供するという、分散型のサービス付き高齢者向け住宅がUR初の仕組みとして注目されています。団地の中には多世代の方が暮らしているので、いわゆる老人ホームとは違った雰囲気で、今までの延長線上の暮らしができると高齢者に好評です。
 長年、高齢者の方々の新しい暮らし方相談を重ね、思うことは、「住み替え」を決断するということがいかに大変なことか、ということです。考え抜いても、結局、何かの理由が優先し決断できなかったと言われる方々の方が圧倒的に多いのです。決断できない理由は、自分が思っているような立地、環境、広さ、価格、サービス、安心安全を備えた高齢者住宅に巡り合えなかった、ということもあるでしょう。しかし、それより「思いきれなかった」方がほとんどでしょう。この差は、人生観、価値観、生活環境など様々な要因から出てくるものと思われます。
 今回、長年悩んでこられたO子さんが前述のゆいま~る高島平に入居を決められましたので、その理由をご紹介いたします。71歳のO子さんは、30代、40代は仕事が面白く気がついたらおひとり様になっていたという方。退職金でマンションを購入し、楽しく暮らしておられましたが、心のどこかに不安を抱えていたそうです。そんな時「高島平団地に住み続ける仕組みをつくる」に参加され、仕組みを勉強するうちに「住み替えれば自宅で終末期を迎えられる!」ことを理解した瞬間、決められたそうです。Oさんはコミュニティネットワーク協会に関わって、東日本大震災の被災地を訪れ、笑顔で働く高齢者に出会って自分も何か役に立ちたい、と心から思うようになったと話されます。「人生の最終章をゆいま~る高島平で自分ができる「やりがい」を見つけたい。それが少しでも収入になってささやかな贅沢ができればこんな嬉しいことはない」と新生活に新しいコミュニティづくりの夢を持っておられます。
 自分で見つけて、自分で決めた高齢者住宅に入居される方達は、皆さん、とても前向きです。決められるまでには周囲の反対や大きな葛藤があることでしょう。でも仕方ないから、ではなく、暮らしを楽しむために入居していただきたいと思います。そう思える高齢者住宅がもっと増えるように、今年も高齢者住宅情報センターは活動を続けます。

米沢なな子(情報センター大阪 センター長)