■相談員から
今年の高齢者住宅の動向は?!

先日偶然電車の中で70代とおぼしき女性同士のお喋りが聞こえてきました。

「この間近所の高齢者住宅を見に行ったら、まるで子ども部屋みたいでビックリしたわ」「そうらしいなぁ。病室みたいなところもあるって聞いたわ」「そんなん、かなわんなぁ。家が一番ええわ」

なぜサ高住は狭い?

現在大阪府下にはサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が約500件、2万戸近くありますが、その8割以上は25㎡以下で、最も多いのは18㎡と言われています。有料老人ホームも全国で1万件を超えましたが、9割は要介護者向けの18㎡が占めているようです。

介護保険制度が始まって17年目を迎えましたが、この介護保険収入を見込んだ高齢者住宅ばかりが増え、当高齢者住宅情報センターに相談に来られるお元気な高齢者向けの住宅は、本当に数が少なく選択肢がありません。私は某コンサルタントが事業者を集めたセミナーで「広い部屋作ったらダメですよ。元気な高齢者が来ますからね」の発言にビックリしたことがあります。要するに介護保険を使う人を対象とした高齢者住宅でないと儲からないと言うのです。

では、要介護になったら18㎡が妥当なのでしょうか。

住まいとケアの分離へ

東京家政大学の松岡洋子准教授の調査によると福祉先進国のデンマーク、イギリス、オランダでは「高齢者住宅+24時間の在宅ケア」という考え方が進んでいます。昔は日本と同じような住まいとケアが一体化した15〜20㎡の介護施設が多かったのですが、どんどん廃止されています。この高齢者住宅は自立型ならフル装備のキッチンセットやバスルームが付いた60〜70㎡、介護型でもミニキッチンやバスが付いて45㎡前後あります。これらは「社会住宅」として公費が投入され、住宅協会が提供、低所得者には家賃補助もあります。日本のサ高住の25㎡や有料老人ホームの18㎡は世界基準からみると半世紀前のものだそうです。日本は土地が狭くて高いのだから、と言われればそれまでですが、海外の研究者から「そんなに小さい住まいをたくさん作って、次世代にどうするのか?」と質問されたそうです。

住まいとケアの分離には面積、設備の整った高齢者住宅の整備と短時間でも複数回訪問可能な24時間体制のケアがあることで、「介護施設」に移ることなく、在宅で過ごせることになります。すでに大阪府ではキッチン、浴室を備えた「自立支援型」のサ高住の供給促進に取り組むようです。ここで①地域包括ケアが24時間機能していくか②自立支援型住宅が増えた時に運営できる事業者があるか、という大きな問題が課題になります。いずれにしても主人公である高齢者のニーズをもっと聞いてほしいと願うばかりです。

2016年1月1日

米沢なな子(情報センター大阪 センター長)