■相談員から
高齢者住宅の費用はなぜ高い?!

 高齢者住宅情報センターに子どもがおられない70代のKさん夫妻が「元気な間に有料老人ホームに住み替えたい。一体いくらぐらいの費用がかかりますか?」と相談に来られました。条件をお聞きすると、よく出かけるので駅に近いこと、買い物に便利なこと、部屋は狭くても2LDK、食堂と大浴室があること、最期の看取りまでしてくれることなどでした。条件に叶うホームはありましたが、入居時に夫婦だと5000万円以上の一時金が必要で、毎月の管理費も15万円近くかかることを説明すると、目玉が飛び出るくらいに驚かれました。
 「なんで?!」と言われても、介護保険を利用されない、自立高齢者向けの都会にある有料老人ホームの多くはそれが現実です。自分の居室以外に食堂や大浴室、時には図書室や娯楽室もあり、医務室や万が一介護度が重くなった場合に住み替える介護居室まで準備されています。火事になったら水が出るスプリンクラーや緊急通報装置、生活リズムセンサーなども設置されています。それら全てを入居者が負担するのですからやはり高額になります。快適で安心な生活にはお金がかかります。
 管理費(または共益費+サービス費)は高齢者住宅内の介護スタッフ以外の人件費や共用スペースの維持管理費です。ボタンを押せば24時間スタッフが駆けつけてくれる仕組みは入居者は安心ですが、それ相当のスタッフ数が必要です。「もっとスタッフの数を増やして」という要求がよく聞かれますが、そうすると管理費が上がるでしょう。看護師さんが常駐していると当然人件費が高くなります。
 食堂は一般的に業務委託していることが多いようですが、直営だと人件費や諸経費で赤字になりがちだと聞きます。「家で作ったらもっと安いのに食堂は高い」という声もありますが、食堂は例え一人しか召し上がらなくても、厨房スタッフが出勤して準備しています。要介護者向けの施設だと3食提供されますが、その食費も例えば厨房で調理人が出来立てを提供するのと、セントラルキッチンで大量に作って、冷凍したものを運ぶのとでは、味は別として費用に差が出ます。素材や調味料へのこだわりも価格に反映されるでしょう。
 当センターで実施したアンケートでも「高齢者住宅は高嶺の花」という方が少なくなかったのです。けれど高齢者住宅はこれからの社会では必要不可欠と思われます。豪華なホームも必要ですが、誰の手にも届く仕組み作りはもっと必要です。

米沢なな子(情報センター大阪 センター長)