■相談員から
こんなはずじゃなかった、ではすまされません

 「先日サービス付き高齢者向け住宅を見学に行ったら、病室のような狭い部屋で私はとても住めません」と情報センターに来られたBさん。最近このようなご相談が増えています。広告には「自立もOK」となっているので、家から近く、立派な建物のホームに勇んで行ってみたら「とにかく狭かった」「台所もなかった」と肩を落として帰って来られました。
 「重度の介護状態になったらきっとこの狭さで十分だと思うけど、今は無理だわ」という声をどれほど聞いてきたことでしょう。
 ある70代の男性は、荷物も少ないし、部屋で食事も作らないので、このホームで良いと入居しました。ところが食堂へ行っても介護を必要とする85歳以上の人ばかりで会話もスタッフとしか通じません。気が滅入ってしまい、転居の相談に来られました。
 2月の某朝刊に有料老人ホームに入居した男性が同じような理由で退居しようとしたら、クーリングオフ期間(※注:参照)にも関わらず初期償却され、返還金が少なく納得できない、という記事が掲載されていました。この件には幾つかのポイントがあります。
 まず、入居する時に住宅が要介護者向けか自立向けかを見極めることです。要介護者向けは基本要介護認定を受けている人が対象ですが、部屋が埋まらないと自立もOKとしたり、自治体によっては自立も入居させるよう指導しています。しかしこの記事にもあるように、入浴が週2回と決められていたり、他の入居者と一緒にレクレーションに参加したりと自立者には馴染めない生活が待っていたりします。
 高齢者住宅の種類やサービス内容を知っていたらこのような失敗はなかったでしょう。
 クーリングオフ制度についてもホーム側の説明不足とご本人の理解不足があったようです。この場合クーリングオフが適用されると思われますが、事業者の言いなりになってしまわれたようです。死亡退居の場合は3か月のクーリングオフを適用しないホームもあります。
 初期償却を認めるかどうかについては各自治体で対応が様々なようですが、将来的には無くす方向で動いています。
 高齢者住宅は共用スペースや緊急通報装置など一般マンションにはない設備があり、スタッフが24時間常駐するなど仕組みも異なります。利用する側はその対価を払わなければなりませんが、費用の内容を丁寧に説明する姿勢が欠けている事業者が多いのも事実のようです。
事業者は高齢者に対してわかりやすく説明するという姿勢を徹底し、高齢者は自分が理解できるうちに入居を決めることが大切です。住み替えの決断は早すぎることはないですね。

米沢なな子(情報センター大阪 センター長)